クライアント提案
学んだマーケティングの知識を、クライアントへの価値に変える。論拠をもって提案し、信頼されるパートナーになる。
提案書の基本フレーム
説得力ある提案書には共通の構造があります。この構造を守ることで、クライアントが「なぜこの施策が必要か」を自然に理解できるようになります。
課題発見の視点——クライアントの「言葉」の裏を読む
クライアントが「フォロワーを増やしたい」と言っても、それは本当のゴールではないことが多いです。言葉の裏にある本質的な課題を発見することが、提案の出発点です。
- 「フォロワーを増やしたい」
- 「エンゲージメントを上げたい」
- 「もっとバズりたい」
- 「競合と同じようにやりたい」
- →「なぜフォロワーが必要か?」売上・認知・採用のどれか
- →「エンゲージメントが上がった結果、何が変わってほしいか?」
- →「バズった後に何が起きてほしいか?(購買?フォロー?)」
- →「競合と差別化すべき点はどこか?」
課題発見の質問例
「このSNS施策の最終的なビジネスゴールを教えてください」
「現在の最大のボトルネックはどこだと思いますか?」
「6ヶ月後、何が変わっていたら成功だと思いますか?」
- 提案は「課題→目標→施策→期待効果」の4ステップで構成する
- クライアントの言葉をそのまま受け取らず、本質的な課題を掘り下げる
- 「このSNS施策の最終的なビジネスゴールは何か」を常に確認する
根拠の種類と強さ
「この施策をやるべきです」という主張を通すためには、適切な根拠が必要です。根拠には強さの差があります。
| 根拠の種類 | 具体例 | 説得力 |
|---|---|---|
| 自社の実績データ | 「先月この施策で来店数+15%を達成した実績があります」 | 非常に高い |
| 業界の事例・統計 | 「同業態で同施策を実施した企業の平均CVR改善率は〇%です」 | 高い |
| 顧客の声・データ | 「フォロワーへのアンケートで〇%が〇〇を求めていることがわかりました」 | 高い |
| 論理的演繹 | 「ターゲットの〇%がInstagramを利用しており、認知施策として最適です」 | 中程度 |
| 感覚・経験則 | 「こういう投稿はバズりやすいと思います」 | 低い |
データがない時の根拠の作り方
ピラミッド原則——結論から話す
提案の説明をする際、「結論」から始めることで、相手は全体像を把握したうえで詳細を聞けるようになります。これがピラミッド原則(BLUF: Bottom Line Up Front)です。
- 「先月のデータを見ると、リーチが…」
- 「そして保存数は…、さらにプロフィール遷移は…」
- 「こういった背景から分析した結果、つまり…」
- 「(長い説明の後)なので、来月は〇〇を実施したいと思います」
- 「来月は〇〇を実施することを提案します(結論)」
- 「理由は3つあります(構造)」
- 「①先月のデータで〇〇という変化が…(根拠①)」
- 「②顧客調査で〇〇というニーズが…(根拠②)」
- 根拠には強さがある。「感覚・経験則」より「データ・実績」で語る
- データがない時は小規模テストや業界統計で一次・二次データを補強する
- 提案は「結論→理由→根拠」の順(ピラミッド原則)で話す
よくある提案の失敗パターン
施策ありきの提案
全部盛り提案
実現可能性を考慮しない提案
質問・反論への対応
提案の場でクライアントから質問や反論が出ることは「良いサイン」です。関心を持って聞いているからこそ、疑問が生まれます。
- 「それは難しいですね…」と防御的になる
- わからないのに「おっしゃる通りです」と迎合する
- その場で回答できず、沈黙が続く
- 質問をネガティブなサインと受け取る
- 「ご指摘ありがとうございます、確認させてください」と誠実に受け取る
- わからない質問は「持ち帰って回答します」と言える
- 反論は「自分の提案を強化するヒント」として活用する
- 「その懸念に備えてこう設計しています」と先手を打つ
- 提案は「課題→施策」の順番で。施策ありきで課題を作ってはいけない
- クライアントのリソース制約を踏まえた「実行できる提案」をする
- 質問・反論は関心のサイン。誠実に受け取り、提案強化のヒントにする
ケース:地方飲食店のSNS提案
クライアント情報
業種: 地方都市の和食レストラン(50席)
現状: Instagramフォロワー800人・LINE友達150人・月間来店数400人
クライアントの言葉: 「SNSをもっと活用して売上を上げたい」
予算: 月3万円(制作費込み)
①課題の特定
データ分析:Instagramのプロフィールアクセス→来店数の転換率が低い。Instagram認知はあるが、来店動機になっていない。
本質課題:「認知→来店」の動機づけが弱い
②KGI・KPI設定
KGI: 3ヶ月後、月間来店数+20%(400→480人)
KPI①: Instagram経由の新規来店数:月+40人
KPI②: LINE友達数:150→300人
③施策提案
Instagram: 「来店欲求を刺激する料理動画+限定メニュー投稿」を週3本
LINE: 来店時のQRコード読み取りで友達登録促進+月2回配信クーポン
提案のポイント
研修修了
マーケティング研修 完了
Chapter 1から Chapter 6まで、マーケティングの理論から実践まで、体系的に学習してきました。
ここで学んだ知識は、SNS運用の現場で確実に活躍します。データを信じ、顧客理解を深め、根拠ある提案をする——それが信頼されるマーケターの姿です。
- SNS運用の全体像を理解し、戦略的に取り組める
- 顧客理解とインサイト発見のプロセスを習得
- コンテンツ設計からKPI管理まで、一連の業務をこなせる
- クライアントへの説得力ある提案ができる
- 数字から仮説を立て、改善施策に活かせる