マーケティング基礎研修Chapter 3顧客理解とリサーチ
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マーケティング研修教材 · Chapter 3

顧客理解とリサーチ

「なんとなくこういう人が好きそう」から卒業する。データと共感の両方で顧客を理解する。

インサイトを言語化できる適切なリサーチ手法を選べるペルソナとCJMを作れる

ニーズとインサイトの違い

「顧客のニーズを理解する」という言葉はよく聞きますが、ニーズとインサイトは別物です。この違いを理解することが、刺さるコンテンツを作る第一歩です。

  • 顧客が自覚している欲求
  • 表面的・言語化されている
  • 「〜したい」「〜が欲しい」と言える
  • 例)「もっと安い商品が欲しい」
  • 顧客が自覚していない深層の動機
  • 潜在的・言語化されていない
  • 「なぜそう感じるのか」の根本
  • 例)「コスパが良いと感じることで、賢い買い物をしている自分を確認したい」

有名なインサイト事例

ドリルを買いに来た顧客が本当に欲しいのは「ドリル」ではなく「穴」です。さらに言えば「穴」でもなく「棚を取り付けたい」という目的、その奥には「家族が快適に暮らす空間を作りたい」という感情があります。この深層動機を捉えることがインサイトです。

ジョブ理論:顧客は何を「雇用」しているか

ジョブ理論(Jobs to be Done)は、顧客が製品・サービスをある状況の中で「雇用(hire)」するという考え方です。顧客は商品を買うのではなく、自分の「仕事(ジョブ)」を片付けるために商品を採用します。

ミルクシェイクの事例

ファストフードチェーンが「なぜ朝にミルクシェイクが売れるのか」を調査したところ、顧客は「退屈な通勤時間を紛らわせ、昼まで腹持ちをよくするもの」としてシェイクを「雇用」していることがわかりました。競合はシェイクではなく「バナナ」や「ラジオ」だったのです。ジョブを捉えると、見えていなかった競合と改善点が浮かび上がります。
  • ニーズは顧客が自覚している欲求、インサイトはその奥にある深層動機
  • インサイトを捉えると、競合と差別化したコンテンツが作れる
  • ジョブ理論:顧客は「何のために」その商品を採用しているかを考える

定量リサーチ:数字で傾向を掴む

定量リサーチは「どのくらい?」「何割が?」という数値的な傾向を把握するためのリサーチです。

手法概要SNS運用での活用例
アンケート多数のサンプルから統計的傾向を把握「フォロワーの何%が購買経験があるか」
アクセス解析Webサイトの流入・行動データを分析「Instagramからのサイト流入率・直帰率」
A/Bテスト2パターンを比較し効果の高い方を特定「画像型vs動画型投稿のエンゲージメント比較」
インサイト分析SNSのアナリティクスで投稿パフォーマンスを把握「リーチ数・保存数・プロフィールアクセス数」

定性リサーチ:「なぜ」を深掘りする

定性リサーチは数字では見えない「なぜ?」「どんな気持ち?」を明らかにするリサーチです。少ないサンプルでも深い洞察が得られます。

インタビュー

1対1の深掘り対話
  • • 5〜10人で十分な示唆が得られる
  • • 「なぜそう思うのか」を繰り返し問う
  • • 想定外の動機が見つかることが多い

コメント・レビュー分析

SNSの言葉を読む
  • • フォロワーのコメントに本音が宿る
  • • 「保存」は強い共感・需要のシグナル
  • • DM・問い合わせ内容も宝の山

観察調査

実際の行動を見る
  • • 人は「言うこと」と「すること」が違う
  • • 店舗での顧客行動、スマホ操作の観察
  • • 行動データからインサイトを発見

SNSリスニング

ネット上の声を集める
  • • ハッシュタグ・口コミサイトの分析
  • • 競合ブランドへのコメントも参考になる
  • • 「不満の言葉」にインサイトが隠れている

定量と定性:組み合わせることで全体像が見える

実践例

定量:「先月から投稿のリーチが30%減少している(数字)」

定性:コメント分析で「最近投稿の内容がワンパターン」「新しい情報がない」という声(言葉)

→ インサイト:「フォロワーが新鮮さを求めている」→ コンテンツの幅を広げる施策へ

  • 定量リサーチは「何が・どのくらい」起きているかを数字で把握する
  • 定性リサーチは「なぜ・どんな気持ちで」を深掘りする
  • 2つを組み合わせることで、施策の根拠となるインサイトが見つかる

ペルソナの正しい作り方

ペルソナは「架空の人物プロフィール」ではなく、リサーチに基づいた顧客像の代表選手です。思い込みで作ると、企画の精度が下がります。

  • データなく「なんとなく」で作られている
  • 属性情報(年齢・職業)しかない
  • 「どんな課題を抱えているか」がない
  • チーム内で共有・活用されていない
  • インタビューやデータから作られている
  • 行動・悩み・インサイトが具体的
  • 「この人に届くか?」を判断軸に使える
  • チーム全員が「彼女なら…」と使える

ペルソナに含めるべき要素

基本属性:年齢・性別・職業・居住地・家族構成

行動パターン:日常のルーティン・SNS利用習慣・購買チャネル

価値観・悩み:何を大切にしているか・何に困っているか

インサイト:商品を通じて本当に達成したいこと(ジョブ)

カスタマージャーニーマップの設計

カスタマージャーニーマップ(CJM)は、ペルソナが商品と出会い購買・継続するまでの体験を「旅」として可視化したものです。

ステージ顧客の行動感情タッチポイント施策例
認知SNS・口コミで発見「へえ、面白そう」Instagram投稿・広告認知拡大コンテンツ
興味プロフィール確認・フォロー「もっと知りたい」プロフィール・ハイライトブランドストーリー発信
検討公式サイト・レビュー確認「これで合ってる?」LP・口コミサイト比較情報・FAQ整備
購買購入・申し込み「決めた!」EC・店舗購入後フォローDM
継続再購入・推薦「ファンになった」LINE・メルマガ会員限定コンテンツ

SNS運用での活用

CJMを作ると「今のInstagram投稿は認知・興味フェーズにしか効いていない」「LINEで購買後の顧客体験を設計できていない」といった抜け漏れが視覚的に見えるようになります。クライアントへの提案でも非常に有効なツールです。
  • ペルソナはリサーチに基づいて作る。思い込みで作ると企画精度が下がる
  • ペルソナには属性だけでなく、行動・悩み・インサイトを含める
  • CJMで顧客の旅を可視化し、どのステージで何が足りないかを特定する

Chapter 3 まとめ

  • ニーズと違い、インサイトは顧客が自覚していない深層動機
  • ジョブ理論で「顧客は何のためにその商品を採用しているか」を考える
  • 定量+定性リサーチの組み合わせでインサイトを発見する
  • ペルソナはデータドリブンで、属性+行動+インサイトを含める
  • カスタマージャーニーマップで顧客体験の全体像を可視化する